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高山のコラム

コラム

バイオプラスチックや生分解性プラスチックについて調べてみた

1.バイオプラスチックとは

バイオプラスチックは、再生可能資源(例:植物由来の糖やデンプン)から作られるプラスチックです。主に以下の2つに分類されます:

  • バイオベースプラスチック: 植物由来だが、通常のプラスチックと同様に分解されない(例: バイオPE、バイオPET)。
  • 生分解性プラスチック: 微生物によって自然環境で分解される(例: ポリ乳酸 (PLA)、ポリブチレンサクシネート (PBS))。

2.生分解性プラスチックとは

  • 生分解性プラスチックは、特定の条件下で微生物により分解され、水と二酸化炭素(またはメタン)に変わります
  • 生分解性を示すには、温度・湿度・微生物環境など特定の条件が必要であり、すべての環境で分解するわけではありません。

3. データと市場動向

  • 市場規模:
    • バイオプラスチックの世界市場は2021年時点で約72億ドルであり、2030年には約155億ドルに達すると予測されています。
    • 世界のプラスチック全体の約1%を確保していますが、持続可能性へのニーズ増加により急速に拡大しています。
  • 生産量:
    • 2022年のバイオプラスチック生産量は約230万トンで、その約40%が包装材に使用されています。
    • 地域別では、アジア(特に中国と日本)が生産の拠点です。
  • 主な材料:
    • PLA(ポリ乳酸) : トウモロコシやサトウキビ由来。食品包装材や農業フィルムに利用。
    • PHA(ポリヒドロキシアルカノエート) : 微生物発酵により作られ、完全生分解性を持つ。

4. メリット

環境への利点

  1. 温室効果ガス削減:原材料が植物由来であるため、生産過程での二酸化炭素排出が削減される。
  2. 廃棄物問題の軽減:生分解性が高いものは、適切な条件下で分解し、埋立地への負担を軽減する。

産業上の利点

  1. ブランド価値向上:環境配慮型製品を使用することで、企業イメージを向上させられる。
  2. リサイクルと併用可能: バイオベースプラスチックは既存のリサイクルインフラでも処理可能。

5. 課題

経済面

  1. コストの高さ: バイオプラスチックの生産コストは石油由来のプラスチックの1.5~3倍。

技術面

  1. 生分解性の限界:
    • 環境条件(温度・湿度)が整わないと分解しません。
    • 分解が遅い場合、海洋汚染への即効性は低い。

環境面

  1. 原料の場合: サトウキビやトウモロコシが原料の場合、食料生産との売れ行きが問題に。

誤解と運用の課題

  1. リサイクルの混乱:
    • 生分解性プラスチックが通常のプラスチックと並ぶと、リサイクル工程に悪影響を及ぼす。

6. ケーススタディ

(1) PLAの活用 – アメリカの食品包装

  • 事例:
    • アメリカの企業「NatureWorks」は、トウモロコシを原料としたPLAを使用して、飲料カップや食品包装材を生産しています。
  • 成果:
    • PLA製品は商業施設での活用が広がり、生分解性基盤(コンポスト施設)の整備と連携。
  • 課題:
    • PLAの分解には工業用コンポスト施設が必要であり、適切な廃棄インフラが普及しない地域では効果が限定的である。

(2) PHAの活用 – 日本の化粧品パッケージ

  • 事例:
    • 日本の化学メーカーがPHAを利用した化粧品容器を開発。従来のプラスチック容器と同様の性能を維持。
  • 成果:
    • 完全生分解性が評価され、消費者から環境対応商品サポートとして獲得。
  • 課題:
    • PHAのコストが高く、一般的な容器用途への適用が進まない。

(3)バイオPE – サトウキビ由来のペットボトル

  • 事例:
    • コカ・コーラ社は「PlantBottle」を導入しています。バイオPEを使用して通常のペットボトルと互換性を持たせ、リサイクル可能です。
  • 成果:
    • 化石燃料由来プラスチックを削減し、製造過程での炭素排出量を20%削減します。
  • 課題:
    • 完全な生分解性は持たず、廃棄時の効果は限定的です。

7. 今後の展望

  • 新技術の開発:
    • 微細藻類や農業廃棄物を利用した次世代バイオプラスチックが研究中。
  • 規模拡大:
    • 生産コスト低下と生分解性プラスチックに対応する基盤の整備が鍵。
  • 政策サポート:
    • 世界各国でプラスチック規制が強化され、バイオプラスチックの需要は増加しています。

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